「おーい、どこに行ったの?」
ニットの毛布の下に子供が隠れていた。黄色い繊維の隙間から、陽光が差し込んで輝いている。
別の部屋から呼びかけている女性の声が、少しずつ近づいてくる。
「またママから隠れているの?」
カチャカチャと、鍵が硬い表面に当たる音がした。かすかな笑い声が漏れる。
女性が大袈裟にハッと息を飲んだ。
「今の音、何だろう?」
子供は素早く息を吸い込むと、音を立てないように努めた。
「さっき、確かに何かの音が聞こえたんだけどな」
大きな影がベッドに座ると、毛布を押さえつけた。
「うーん……」
子供は笑いをこらえようとするが、我慢できず笑い出してしまう。毛布の上から手の影が伸びてくると、思わず体をモゾモゾと動かした。
「まさか……」
子供は抑えきれないほどクスクス笑い始めた。
影の動きが止まった。 そしてしばらくすると、後退し、何もないところへと消え去った。
「ううん……ただの思い込みね」
「ねえ、ここにいるよ!」
子供が毛布を振り払うと、部屋は強烈な閃光に覆われ、不協和音のような警報音が鳴り響いていた。
「エゴバリア、完全分解!」